ラテン転々
一面の瓦礫のなかで
No.11
三山喬
2011年4月15日号
言葉を失う光景、というのは、正にこのことだと思った。見渡す限り、建造物がほとんどなくなってしまった瓦礫の地。そこかしこにひしゃげた自動車が転がっている。東日本大震災から丸1週間後の金曜日、私は宮城県名取市の津波被害現場にいた。 その後、三陸地方のより大規模な被災現場も回ったが、まるで終戦直後の広島にタイムマシンで戻ってしまったかのような衝撃は、やはり最初に見た名取市で、最も強烈に感じられた。 そしてこの現場で、スペイン語を久しぶりに使った。相手はメキシコから来たテレビの取材班。ちょうどすぐ近くに、呆然と立ち尽くす地元の男性がいたことから、即席のインタビュー通訳をすることになった。 今回、再三報道されている「海外の声」と同様、このクルーにいた女性記者もまた、日本人被災者の秩序立った振るまいへの驚き、賛辞を口にした。 無理もない。もしラテン...
言葉を失う光景、というのは、正にこのことだと思った。見渡す限り、建造物がほとんどなくなってしまった瓦礫の地。そこかしこにひしゃげた自動車が転がっている。東日本大震災から丸1週間後の金曜日、私は宮城県名取市の津波被害現場にいた。 その後、三陸地方のより大規模な被災現場も回ったが、まるで終戦直後の広島にタイムマシンで戻ってしまったかのような衝撃は、やはり最初に見た名取市で、最も強烈に感じられた。 そしてこの現場で、スペイン語を久しぶりに使った。相手はメキシコから来たテレビの取材班。ちょうどすぐ近くに、呆然と立ち尽くす地元の男性がいたことから、即席のインタビュー通訳をすることになった。 今回、再三報道されている「海外の声」と同様、このクルーにいた女性記者もまた、日本人被災者の秩序立った振るまいへの驚き、賛辞を口にした。 無理もない。もしラテンア
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