ラテン転々
独り旅のこと
No.10
三山喬
2011年3月15日号
私が、まだ高校生の頃、『復活の日』という角川映画があった。人類がほぼ滅び去った後の地球。生き残った主人公を演じる草刈正雄は、確か北米から南へと歩き、逆に北上するオリビア・ハッセーと南米のどこかで遭遇する。 そんな馬鹿げたことがあってたまるか──。 当時の私はそう思った。映画のストーリーそのものは忘れてしまったが、広大な南米大陸で、とぼとぼと南下する男と北上する女がすれ違うこともなく、バッタリと出くわす。そんな設定に、噴飯ものだ、とシラけ返ってしまったことだけは、30年後の今もなぜか鮮明に覚えている。 だが、実際にあの大陸を知ると、あり得なくはない、と思うようになる。広大なように見えて、実は主要な道路はそう何本もない。大陸を縦断するなら、コロンビアからエクアドル、ペルー辺りまでは、アンデス山脈に沿ったパンアメリカン道路1本である。てくてくと南...
私が、まだ高校生の頃、『復活の日』という角川映画があった。人類がほぼ滅び去った後の地球。生き残った主人公を演じる草刈正雄は、確か北米から南へと歩き、逆に北上するオリビア・ハッセーと南米のどこかで遭遇する。 そんな馬鹿げたことがあってたまるか──。 当時の私はそう思った。映画のストーリーそのものは忘れてしまったが、広大な南米大陸で、とぼとぼと南下する男と北上する女がすれ違うこともなく、バッタリと出くわす。そんな設定に、噴飯ものだ、とシラけ返ってしまったことだけは、30年後の今もなぜか鮮明に覚えている。 だが、実際にあの大陸を知ると、あり得なくはない、と思うようになる。広大なように見えて、実は主要な道路はそう何本もない。大陸を縦断するなら、コロンビアからエクアドル、ペルー辺りまでは、アンデス山脈に沿ったパンアメリカン道路1本である。てくてくと南北
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