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審査建言

「価値評価」が求められる新薬審査

財団法人日本公定書協会理事長 土井脩

2011年3月1日号

 医療資源に限界があるなかで、各国政府は高額な新薬や新医療機器の開発が医療財源を圧迫することに危機感を抱いている。わが国だけでなく、欧米でもそうだ。モノクローナル抗体や分子標的薬に見られるように、最近開発される医薬品は生活習慣病薬とは異なり、特定の標的、特定の個人をターゲットとしている。薬価は非常に高く、長期間使用する場合には患者個人のみならず、医療財政にとっても大きな負担となっている。 医療保険側から新薬の使用を制限しようとの試みも各国で行われている。なかでも英国の機関であるNICE(国立医療技術評価機構)が有名で、製薬企業との間で摩擦も生じている。NICEは06年、国の管理する医療保険における「アリセプト」の使用範囲を制限した。同剤を販売するエーザイとファイザーは英国で訴訟を起こし、最終的にはメーカー側が裁判に勝って今年、アリセプトの...  医療資源に限界があるなかで、各国政府は高額な新薬や新医療機器の開発が医療財源を圧迫することに危機感を抱いている。わが国だけでなく、欧米でもそうだ。モノクローナル抗体や分子標的薬に見られるように、最近開発される医薬品は生活習慣病薬とは異なり、特定の標的、特定の個人をターゲットとしている。薬価は非常に高く、長期間使用する場合には患者個人のみならず、医療財政にとっても大きな負担となっている。 医療保険側から新薬の使用を制限しようとの試みも各国で行われている。なかでも英国の機関であるNICE(国立医療技術評価機構)が有名で、製薬企業との間で摩擦も生じている。NICEは06年、国の管理する医療保険における「アリセプト」の使用範囲を制限した。同剤を販売するエーザイとファイザーは英国で訴訟を起こし、最終的にはメーカー側が裁判に勝って今年、アリセプトの使

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