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From Local to Global 私と公衆衛生

偏見と差別—難病対策で残されたもの

国際医療福祉大学副学長 岩尾總一郎(元厚労省医政局長)

2011年3月1日号

 64年7月24日、朝日新聞が『五輪ボートコース付近(埼玉県戸田市付近)にマヒの奇病続発』と報じられてから、各地に散発していたある病気が、世間の関心を集めることになった。その神経症状の頭文字からスモン(SMON)と名づけられたが、当初は、風土病か遺伝病か、あるいは伝染病なのか見当がつかない。患者の周辺では偏見と差別が渦巻いた。 ウイルス起因説が主流となりつつあった69年9月、旧厚生省は、「スモン調査研究協議会」という研究班を組織し、症例を収集して疫学、病理、病態についての集学的な研究を行うことになった。72年3月13日、協議会はキノホルムによる神経障害と最終結論を出す。スモンは、今では薬害として認知されている。 この集学的研究方法が奏功したことから、厚生省は公衆衛生局に「特定疾患対策室」を設け、翌73年4月からベーチェット病、重症筋無力症、全身性エリテ...  64年7月24日、朝日新聞が『五輪ボートコース付近(埼玉県戸田市付近)にマヒの奇病続発』と報じられてから、各地に散発していたある病気が、世間の関心を集めることになった。その神経症状の頭文字からスモン(SMON)と名づけられたが、当初は、風土病か遺伝病か、あるいは伝染病なのか見当がつかない。患者の周辺では偏見と差別が渦巻いた。 ウイルス起因説が主流となりつつあった69年9月、旧厚生省は、「スモン調査研究協議会」という研究班を組織し、症例を収集して疫学、病理、病態についての集学的な研究を行うことになった。72年3月13日、協議会はキノホルムによる神経障害と最終結論を出す。スモンは、今では薬害として認知されている。 この集学的研究方法が奏功したことから、厚生省は公衆衛生局に「特定疾患対策室」を設け、翌73年4月からベーチェット病、重症筋無力症、全身性エリテマ

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