この国につけるクスリ 社会保障よもやま話
再分配のパラドックス
東京福祉大学・大学院教授 喜多村悦史
2011年3月1日号
民主党政権は社会保障の維持に、ことのほか熱心だ。 新年度予算案作成では、社会保障関係費の自然増分を満額受け入れた。その分、新規借金(=国債発行)が増え、財政危機はいよいよ抜き差しならなくなっている。 「この借金をどうするかね?」 学生に班別討議させ、発表させた。インフレを起こして実質踏み倒すという、政府が喜んで採用しそうな案もあったけれど、一番多いのは、「ここに至っては、社会保障といえども、聖域ではあり得ない」というものだった。 さて、社会保障には、「水平的再分配機能」を担う制度と、「垂直的再分配機能」を担う制度がある。 前者は、傷病、高齢、労働不能、要介護などリスクが現実化したときに所得補填や必要なサービスを行うもので、所得にかかわらず普遍的に給付される。わが国では基本的に国民全員が保険制度に加入し、負担能力に応じた保険料を納付する...
民主党政権は社会保障の維持に、ことのほか熱心だ。 新年度予算案作成では、社会保障関係費の自然増分を満額受け入れた。その分、新規借金(=国債発行)が増え、財政危機はいよいよ抜き差しならなくなっている。 「この借金をどうするかね?」 学生に班別討議させ、発表させた。インフレを起こして実質踏み倒すという、政府が喜んで採用しそうな案もあったけれど、一番多いのは、「ここに至っては、社会保障といえども、聖域ではあり得ない」というものだった。 さて、社会保障には、「水平的再分配機能」を担う制度と、「垂直的再分配機能」を担う制度がある。 前者は、傷病、高齢、労働不能、要介護などリスクが現実化したときに所得補填や必要なサービスを行うもので、所得にかかわらず普遍的に給付される。わが国では基本的に国民全員が保険制度に加入し、負担能力に応じた保険料を納付すること
有料会員限定
会員登録(有料)
この記事をお読みいただくためには、会員登録(有料)が必要です。
新規会員登録とマイページ > 購読情報から購入手続きをお願いいたします。
※IDをお持ちの方はログインからお進みください
【会員登録方法】
会員登録をクリックしていただくと、新規会員仮登録メール送信画面に移動します。
メールアドレスを入力して会員登録をお願い致します。
1ユーザーごとの登録をお願い致します。(1ユーザー1アカウントです)
ログイン
会員登録