「イレッサ」和解勧告、焦点は安全性評価
薬害弁護団の732ページ最終弁論から見えてくるもの
フリージャーナリスト 辰濃哲郎
2011年2月1日号
その初老の男性と会うのは、約8年ぶりだった。
悲しみのどん底に陥っていた当時の、疲れ果ててやつれた横顔の代わりに、毅然とした眼差しが、7年にも及ぶ裁判を闘い抜いた自信を裏付けていた。
もうすぐ娘の無念を晴らすことができる。そんな想いが伝わってくるような、晴ればれとした笑顔だった。
この男性は、イレッサ訴訟の原告代表のひとりである近澤昭雄さん(67)だ。02年10月、抗がん剤「イレッサ」の副作用とみられる間質性肺炎で亡くなった近澤三津子さん(当時31)の父親で、04年に国と輸入販売元のアストラゼネカ(AZ)を相手取って損害賠償訴訟を起こした。
7年にも及ぶ裁判が大詰めを迎え、東京と大阪両地裁が和解勧告を非公開で当事者に打診したのは正月明けの1月7日だった。原告である近澤さんらの言い分をほぼ全面的に認めるような画期的な判断を含んでいるこの和解勧告を...
その初老の男性と会うのは、約8年ぶりだった。
悲しみのどん底に陥っていた当時の、疲れ果ててやつれた横顔の代わりに、毅然とした眼差しが、7年にも及ぶ裁判を闘い抜いた自信を裏付けていた。
もうすぐ娘の無念を晴らすことができる。そんな想いが伝わってくるような、晴ればれとした笑顔だった。
この男性は、イレッサ訴訟の原告代表のひとりである近澤昭雄さん(67)だ。02年10月、抗がん剤「イレッサ」の副作用とみられる間質性肺炎で亡くなった近澤三津子さん(当時31)の父親で、04年に国と輸入販売元のアストラゼネカ(AZ)を相手取って損害賠償訴訟を起こした。
7年にも及ぶ裁判が大詰めを迎え、東京と大阪両地裁が和解勧告を非公開で当事者に打診したのは正月明けの1月7日だった。原告である近澤さんらの言い分をほぼ全面的に認めるような画期的な判断を含んでいるこの和解勧告を、近
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