時流遡航
危機に瀕する日本の高等教育
第7回
ジャーナリスト 本田成親
2011年2月1日号
厳しいことを書くようだが、責任の一端は大学人の側にもある。昨今の日本の大学教員、なかでも若手大学教員は、限られた領域の専門研究に関してはそれなりに高い能力を持つものの、広い意味での哲学的見識に立脚する深い教養や、歴史と文化の観点に裏付けられた体系的思索などには今ひとつ欠ける者も少なくない。専門領域の分化や深化が進むなかではある程度やむを得ないという見方もあろうが、それも限度問題と言える。
理系文系を問わず国内外の著名な研究者を一瞥すればわかることだが、例外なく彼らは高い教養を備えている。尊敬に値する人格と教養に裏付けられた教育や指導であってこそ、専門分野でも若い人材の啓発と育成が可能となることを思うと、それは当然だろう。人間的に魅力がなければどんなに秀でた研究でも周囲に理解されず、埋没してしまう虞れがある。折々、野依良...
厳しいことを書くようだが、責任の一端は大学人の側にもある。昨今の日本の大学教員、なかでも若手大学教員は、限られた領域の専門研究に関してはそれなりに高い能力を持つものの、広い意味での哲学的見識に立脚する深い教養や、歴史と文化の観点に裏付けられた体系的思索などには今ひとつ欠ける者も少なくない。専門領域の分化や深化が進むなかではある程度やむを得ないという見方もあろうが、それも限度問題と言える。
理系文系を問わず国内外の著名な研究者を一瞥すればわかることだが、例外なく彼らは高い教養を備えている。尊敬に値する人格と教養に裏付けられた教育や指導であってこそ、専門分野でも若い人材の啓発と育成が可能となることを思うと、それは当然だろう。人間的に魅力がなければどんなに秀でた研究でも周囲に理解されず、埋没してしまう虞れがある。折々、野依良治
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