繰り返される「吟味なき負担増」
利害調整の“手打ち”と、立ち往生の政治主導
2011年1月15日号
「法律的には殺人罪や過失致死罪で処罰されるということはない」
殺人罪──エラい物騒な言葉が飛び出した。昨年の高齢者医療制度改革会議での細川律夫厚生労働相の弁。最終とりまとめに向けて大詰めの議論が交わされるなかで、委員の問いに答えたものだが、質問の趣旨はこういうことだった。
《自己負担引き上げが国民の健康を損ない、死亡率を高め得ると予見しながら、『仕方がない』と考えて実施することは、未必の故意で訴えられた場合に有罪になるか》
言わずもがなだが、70〜74歳の患者負担の1割→2割引き上げのことである。質問した近藤克則・日本福祉大学教授は、改革会議で繰り返し「患者負担増は必要な受診の抑制をもたらす」と警鐘を鳴らしていた。にもかかわらず、最終報告案に引き上げが盛り込まれたことに憤りをもって、弁護士でもある細川厚労相を揺さぶってみた。そう...
「法律的には殺人罪や過失致死罪で処罰されるということはない」
殺人罪──エラい物騒な言葉が飛び出した。昨年の高齢者医療制度改革会議での細川律夫厚生労働相の弁。最終とりまとめに向けて大詰めの議論が交わされるなかで、委員の問いに答えたものだが、質問の趣旨はこういうことだった。
《自己負担引き上げが国民の健康を損ない、死亡率を高め得ると予見しながら、『仕方がない』と考えて実施することは、未必の故意で訴えられた場合に有罪になるか》
言わずもがなだが、70〜74歳の患者負担の1割→2割引き上げのことである。質問した近藤克則・日本福祉大学教授は、改革会議で繰り返し「患者負担増は必要な受診の抑制をもたらす」と警鐘を鳴らしていた。にもかかわらず、最終報告案に引き上げが盛り込まれたことに憤りをもって、弁護士でもある細川厚労相を揺さぶってみた。そうして
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