医薬経済オンライン

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From Local to Global 私と公衆衛生

人権と公衆衛生との狭間で

第27回

国際医療福祉大学副学長 岩尾總一郎(元厚労省医政局長)

2011年1月1日号

 95年6月末、厚生省(当時)の疾病対策課長だった私が保健医療局長室に入ると、局長とエイズ結核感染症課長が当時、財団法人藤楓協会(ハンセン病患者支援団体)の理事長だった大谷藤郎先生と話している。  パステルカラーのシャツにジャケットを着た大谷先生が顔を上げ、ニコニコしながら「岩尾君、よろしく頼むよ」と話しかけてきた。このときから、大谷先生との濃密な時間を過ごすことになる。大谷先生は、私が現在奉職している国際医療福祉大学の初代学長で、大学の基礎を築いた。昨年12月7日に逝去された大谷先生を偲びつつ、らい予防法廃止にまつわる思い出を記す——。  保健医療局長に呼ばれた当時、まさに厚生省「らい予防法見直し検討会」が開かれようとしていた時期だ。私は「感染症の担当課長ではないのですが」と訝ると、局長は、「そんなことはわかっている。エイズ結核感染症課長は10日...  95年6月末、厚生省(当時)の疾病対策課長だった私が保健医療局長室に入ると、局長とエイズ結核感染症課長が当時、財団法人藤楓協会(ハンセン病患者支援団体)の理事長だった大谷藤郎先生と話している。  パステルカラーのシャツにジャケットを着た大谷先生が顔を上げ、ニコニコしながら「岩尾君、よろしく頼むよ」と話しかけてきた。このときから、大谷先生との濃密な時間を過ごすことになる。大谷先生は、私が現在奉職している国際医療福祉大学の初代学長で、大学の基礎を築いた。昨年12月7日に逝去された大谷先生を偲びつつ、らい予防法廃止にまつわる思い出を記す——。  保健医療局長に呼ばれた当時、まさに厚生省「らい予防法見直し検討会」が開かれようとしていた時期だ。私は「感染症の担当課長ではないのですが」と訝ると、局長は、「そんなことはわかっている。エイズ結核感染症課長は10日付

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