一筆入魂
メディアが「告発」を葬った日
「漏洩」への強制捜査を無条件容認する危機感の欠如
ノンフィクション作家 辰濃哲郎
2010年12月1日号
メディアとして、最も大切な視点を、見落としてしまっているような気がしてならない。 尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突したビデオが、インターネットのYou Tube(ユーチューブ)に流出した。その事件を報じるマスコミの報道姿勢についての、私の感想だ。 9月7日に中国漁船が巡視船に衝突して、船長が公務執行妨害の疑いで逮捕された。その後、船長は「外交的配慮」で釈放されたが、海保が撮影したビデオの公開を求める声は日々、高まっていった。 ビデオがユーチューブに投稿されたのは、11月4日深夜のことだった。国民への公開の是非を巡る論議が高まるなかでの流出は「告発」を想起させる。中国に配慮してか、全面公開を渋っていた菅直人政権を揺るがす事態に慌てたのは、政府だけではない。新聞各社も5日付夕刊で、1面から社会面に到る大展開だ。 どの新聞の論調も、...
メディアとして、最も大切な視点を、見落としてしまっているような気がしてならない。 尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突したビデオが、インターネットのYou Tube(ユーチューブ)に流出した。その事件を報じるマスコミの報道姿勢についての、私の感想だ。 9月7日に中国漁船が巡視船に衝突して、船長が公務執行妨害の疑いで逮捕された。その後、船長は「外交的配慮」で釈放されたが、海保が撮影したビデオの公開を求める声は日々、高まっていった。 ビデオがユーチューブに投稿されたのは、11月4日深夜のことだった。国民への公開の是非を巡る論議が高まるなかでの流出は「告発」を想起させる。中国に配慮してか、全面公開を渋っていた菅直人政権を揺るがす事態に慌てたのは、政府だけではない。新聞各社も5日付夕刊で、1面から社会面に到る大展開だ。 どの新聞の論調も、今回
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