医薬経済オンライン

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時流遡航

危機に瀕する日本の高等教育

第2回

ジャーナリスト 本田成親

2010年11月15日号

 わが国の高等教育、なかでも基礎学術研究が窮状に陥りつつある原因は、極めて複合的である。錯綜する諸要因相互の連関性を明らかにしながら、順次その詳細を述べていくことにするが、多岐多様な要因を予め列挙しておくと、次のようなものになるだろう。   長年続く日本の経済不況と、それに伴う近年の国家財政悪化のため、国立大学や国立の研究機関をはじめとする高等教育機関への公的な財政支出は毎年減少し続けている。ここ何年かにわたり、国立大学などへの運営交付金は前年度比で3%ずつ削減されてきているのだ。3%の削減というと、大きな影響はないように思われるかもしれないが、等比級数的に削減されていくわけだから、その状況が数年も続いたりしたら容易ならざる事態に陥る。しかも、その前年比3%の運営交付金削減に伴い、大学の諸経費項目がいずれも3%ず...  わが国の高等教育、なかでも基礎学術研究が窮状に陥りつつある原因は、極めて複合的である。錯綜する諸要因相互の連関性を明らかにしながら、順次その詳細を述べていくことにするが、多岐多様な要因を予め列挙しておくと、次のようなものになるだろう。   長年続く日本の経済不況と、それに伴う近年の国家財政悪化のため、国立大学や国立の研究機関をはじめとする高等教育機関への公的な財政支出は毎年減少し続けている。ここ何年かにわたり、国立大学などへの運営交付金は前年度比で3%ずつ削減されてきているのだ。3%の削減というと、大きな影響はないように思われるかもしれないが、等比級数的に削減されていくわけだから、その状況が数年も続いたりしたら容易ならざる事態に陥る。しかも、その前年比3%の運営交付金削減に伴い、大学の諸経費項目がいずれも3%ずつ均

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