ラテン転々
ノーベル文学賞受賞者の思い出
No.6
三山喬
2010年11月15日号
今年のノーベル文学賞は、ペルー人作家マリオ・バルガス・リョサに決まった。4年前の暮れ、私がペルーを去る直前に行った、この国での最後のインタビューが、彼バルガス・リョサに対するものだっただけに、感慨が湧く。 インタビューは「アメリカ」をテーマに世界の知識人の声を集める、ある新聞の特集で、私はコーディネーター兼通訳として関わっただけだったが、その洗練された物腰や細やかな気遣いは強く印象に刻まれた。1年の大半をヨーロッパで過ごすバルガス・リョサだが、取材は幸運にも、太平洋を臨むリマ市の邸宅で実現した。 恐らく、その本音から言えば、彼の日本人観には微妙なものがあったと思う。本業の作家活動とは別に、彼が一時、政治家を志した時期、日本のメディアはその政敵、アルベルト・フジモリの側に好意的だった。 90年、2人の一騎打ちとなった大統領選で、日系移民の子・...
今年のノーベル文学賞は、ペルー人作家マリオ・バルガス・リョサに決まった。4年前の暮れ、私がペルーを去る直前に行った、この国での最後のインタビューが、彼バルガス・リョサに対するものだっただけに、感慨が湧く。 インタビューは「アメリカ」をテーマに世界の知識人の声を集める、ある新聞の特集で、私はコーディネーター兼通訳として関わっただけだったが、その洗練された物腰や細やかな気遣いは強く印象に刻まれた。1年の大半をヨーロッパで過ごすバルガス・リョサだが、取材は幸運にも、太平洋を臨むリマ市の邸宅で実現した。 恐らく、その本音から言えば、彼の日本人観には微妙なものがあったと思う。本業の作家活動とは別に、彼が一時、政治家を志した時期、日本のメディアはその政敵、アルベルト・フジモリの側に好意的だった。 90年、2人の一騎打ちとなった大統領選で、日系移民の子・フ
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