時流遡航
危機に瀕する日本の高等教育
第1回
ジャーナリスト 本田成親
2010年11月1日号
2010年度のノーベル化学賞を、北海道大学の鈴木章名誉教授と米パデュー大学の根岸英一特別教授が受賞した。今では各種新薬や液晶ディスプレイの開発などには不可欠なものとなっている「クロスカップリング技術」(有機化合物の炭素同士を結合させる手法)の確立に対する授賞で、日本国民としては喜ばしい限りである。諸メディアが、「一昨年の4人のノーベル賞受賞と合わせて、日本の科学力の高さを世界に誇示できた」と沸き立つのも無理はない。
だが、ここは少し冷静になったほうがよいだろう。なぜなら、一連の受賞は、日本学術界の現状を正しく反映したものだとは言い難いからである。最近の日本人研究者6人の受賞対象は、いずれも30年から40年昔の基礎科学研究であり、しかもそれらの半数は米国の研究環境下にあって達成されたものである。
鈴木、根岸両氏が受賞後の諸会見で暗...
2010年度のノーベル化学賞を、北海道大学の鈴木章名誉教授と米パデュー大学の根岸英一特別教授が受賞した。今では各種新薬や液晶ディスプレイの開発などには不可欠なものとなっている「クロスカップリング技術」(有機化合物の炭素同士を結合させる手法)の確立に対する授賞で、日本国民としては喜ばしい限りである。諸メディアが、「一昨年の4人のノーベル賞受賞と合わせて、日本の科学力の高さを世界に誇示できた」と沸き立つのも無理はない。
だが、ここは少し冷静になったほうがよいだろう。なぜなら、一連の受賞は、日本学術界の現状を正しく反映したものだとは言い難いからである。最近の日本人研究者6人の受賞対象は、いずれも30年から40年昔の基礎科学研究であり、しかもそれらの半数は米国の研究環境下にあって達成されたものである。
鈴木、根岸両氏が受賞後の諸会見で暗に示
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