ドクターかでいのくすりの裏技
精神科の多剤併用問題
第34回
かでい伝次郎
2010年10月15日号
精神科では長年、統合失調症の治療で多剤併用(ポリファーマシー)が問題となってきた。これは、統合失調症患者が以前は閉鎖病棟に監禁されていたところが、向精神薬の発達のおかげもあって、治療が外来通院主体になったことと裏腹なのかもしれない(文化精神医学的には、都市化した社会が統合失調症の病理を受け入れやすくなり、病気が軽症化したのだとも言うが)。すなわち、治療が外来通院主体になったとはいっても、物理的に患者を監禁する代わりに、薬漬けにして過度に鎮静し、薬理学的に監禁しているに過ぎないのではないかという批判である。 幸いなことに、非定型向精神薬の出現により、統合失調症患者の向精神薬による過鎮静は解決の糸口を掴んだが、まだ処方は混乱しており、依然として多剤併用が多い。では、うつ病や不安障害での多剤併用はどうかと言えば、まだ詳しい調査は行われていな...
精神科では長年、統合失調症の治療で多剤併用(ポリファーマシー)が問題となってきた。これは、統合失調症患者が以前は閉鎖病棟に監禁されていたところが、向精神薬の発達のおかげもあって、治療が外来通院主体になったことと裏腹なのかもしれない(文化精神医学的には、都市化した社会が統合失調症の病理を受け入れやすくなり、病気が軽症化したのだとも言うが)。すなわち、治療が外来通院主体になったとはいっても、物理的に患者を監禁する代わりに、薬漬けにして過度に鎮静し、薬理学的に監禁しているに過ぎないのではないかという批判である。 幸いなことに、非定型向精神薬の出現により、統合失調症患者の向精神薬による過鎮静は解決の糸口を掴んだが、まだ処方は混乱しており、依然として多剤併用が多い。では、うつ病や不安障害での多剤併用はどうかと言えば、まだ詳しい調査は行われていない
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