医薬経済オンライン

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リーダーのための読書論

「仮説思考」と「論点思考」、どちらが、より重要なのか

第43回

株式会社ファーマネットワーク 榎戸誠

2010年10月1日号

 敬愛するN先輩から『思考のレッスン』(丸谷才一著、文春文庫)を薦められたときは、正直言って、困惑してしまった。なぜならば、丸谷才一がジェイムズ・ジョイス大好き人間であり、丸谷訳の『ユリシーズ』を悪戦苦闘の末、読み終えたものの、どうしてもこの小説を好きになれなかったという苦い経験をしていたからである。 ところが、この『思考のレッスン』には、考えるためのヒントが詰まっていたのである。丸谷式考え方のコツを私なりに5つにまとめてみよう。①まず大事なのは「問いかけ」である。つまり、「いかに、よい問いを立てるか」ということ。他人から与えられた問いではなく、自分自身が発した問いであるべきだ。②定説と違っても構わないと「度胸」を決めて考える。③考える際は「比較と分析」を行う。比較によって分析が可能になり、分析によって比較が可能となる。④「仮説」は大胆不敵に...  敬愛するN先輩から『思考のレッスン』(丸谷才一著、文春文庫)を薦められたときは、正直言って、困惑してしまった。なぜならば、丸谷才一がジェイムズ・ジョイス大好き人間であり、丸谷訳の『ユリシーズ』を悪戦苦闘の末、読み終えたものの、どうしてもこの小説を好きになれなかったという苦い経験をしていたからである。 ところが、この『思考のレッスン』には、考えるためのヒントが詰まっていたのである。丸谷式考え方のコツを私なりに5つにまとめてみよう。①まず大事なのは「問いかけ」である。つまり、「いかに、よい問いを立てるか」ということ。他人から与えられた問いではなく、自分自身が発した問いであるべきだ。②定説と違っても構わないと「度胸」を決めて考える。③考える際は「比較と分析」を行う。比較によって分析が可能になり、分析によって比較が可能となる。④「仮説」は大胆不敵に立

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