医薬経済オンライン

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この国につけるクスリ 社会保障よもやま話

高齢者の所在確認

東京福祉大学・大学院教授 喜多村悦史

2010年10月1日号

 「隣は何をする人ぞ?」 秋深き……で始まる芭蕉の句は、今や希薄な隣人関係の嘆く言葉に変転したが、社会保険事業にとっては別の意味で含蓄がある。 今夏、東京都足立区で、区役所の住民基本台帳では生存していることになっている111歳の男性が、実は30年前に死亡していたことが判明した。「部屋に籠りきり」と近所の人や区役所職員には説明していたそうだが、とっくにミイラ化していた。それを「生きている」と家族が主張するならヒッチコックの映画だが、この件では「怖い人なので部屋の襖を開けるな」と指示され、それを守ってきたのだと言う。で、振り込まれる年金を受け取り続けていたという話だ。 年金は権利者が生きている限りにおいて給付が継続する。ゆえに、生存確認は保険者にとり、基本中の基本業務だ。なのに、死亡者に年金を払い込み続けるとは、「旧社会保険庁のおざなり業務」と批判...  「隣は何をする人ぞ?」 秋深き……で始まる芭蕉の句は、今や希薄な隣人関係の嘆く言葉に変転したが、社会保険事業にとっては別の意味で含蓄がある。 今夏、東京都足立区で、区役所の住民基本台帳では生存していることになっている111歳の男性が、実は30年前に死亡していたことが判明した。「部屋に籠りきり」と近所の人や区役所職員には説明していたそうだが、とっくにミイラ化していた。それを「生きている」と家族が主張するならヒッチコックの映画だが、この件では「怖い人なので部屋の襖を開けるな」と指示され、それを守ってきたのだと言う。で、振り込まれる年金を受け取り続けていたという話だ。 年金は権利者が生きている限りにおいて給付が継続する。ゆえに、生存確認は保険者にとり、基本中の基本業務だ。なのに、死亡者に年金を払い込み続けるとは、「旧社会保険庁のおざなり業務」と批判さ

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