アニータの国の熱情 | 医薬経済オンライン

ラテン転々

アニータの国の熱情

No.4

三山喬

2010年9月15日号

　この号が発行される頃には過去の話になっているかもしれないが、原稿執筆中の現在、チリ北部で起きた鉱山落盤事故が連日、報道されている。33人の鉱夫が地下700メートルに閉じ込められたものの、地上との通信回線が設置され、救出を待つ彼らの肉声や映像が生々しく伝えられている。　地元では連日のトップニュース。街角には、鉱夫たちを励ますスローガンがあちこちに大書され、国中が救出劇を見守っている。　このチリという国、やたらと細長いその形から、位置だけは知っている人が多いだろう。私の住んでいたペルーとは南北に接する隣国だが、この両国、実はすこぶる仲が悪い。いや、鉱産物に恵まれ、ワインの生産国としても台頭するチリ側から見れば、ペルーなど格下の途上国に過ぎず、ペルー人だけが一方的に対抗心を燃やしているのかもしれない。　浅黒い肌をしたインカ帝国の末裔やメスティーソ... 　この号が発行される頃には過去の話になっているかもしれないが、原稿執筆中の現在、チリ北部で起きた鉱山落盤事故が連日、報道されている。33人の鉱夫が地下700メートルに閉じ込められたものの、地上との通信回線が設置され、救出を待つ彼らの肉声や映像が生々しく伝えられている。　地元では連日のトップニュース。街角には、鉱夫たちを励ますスローガンがあちこちに大書され、国中が救出劇を見守っている。　このチリという国、やたらと細長いその形から、位置だけは知っている人が多いだろう。私の住んでいたペルーとは南北に接する隣国だが、この両国、実はすこぶる仲が悪い。いや、鉱産物に恵まれ、ワインの生産国としても台頭するチリ側から見れば、ペルーなど格下の途上国に過ぎず、ペルー人だけが一方的に対抗心を燃やしているのかもしれない。　浅黒い肌をしたインカ帝国の末裔やメスティーソ（

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