この国につけるクスリ 社会保障よもやま話
肝炎と腎炎、「肝腎要」と言うが
東京福祉大学・大学院教授 喜多村悦史
2010年9月1日号
7月29日朝刊の全面広告が目を引いた。「B型肝炎治療における医療費助成制度が拡大!!」という大見出し。4月から助成対象となる治療が拡大したことの周知のようだが、「患者さまの医療費負担額は原則、月あたり1万円、世帯所得の高い方は2万円です」と目立つように書かれている。素直に読めば、いかに最新で高額な治療法であってもほとんど全額を支援してくれる仕組みのように受け取れる。 広告主は政府でも健保組合でもない。抗がん剤などを輸入・販売している私企業だ。はて、企業利潤の社会還元?と一瞬感激しかかったが、早飲み込みだった。保健所で患者は受給証の交付を受ける。ということは費用負担の出所は都道府県、それに国から補助されるという「公費負担医療」の仕組みだ。それを周知する形をとって、潜在的な薬剤消費者に訴求する広告だったわけだ。 肝炎ウイルスは血液を介して感染す...
7月29日朝刊の全面広告が目を引いた。「B型肝炎治療における医療費助成制度が拡大!!」という大見出し。4月から助成対象となる治療が拡大したことの周知のようだが、「患者さまの医療費負担額は原則、月あたり1万円、世帯所得の高い方は2万円です」と目立つように書かれている。素直に読めば、いかに最新で高額な治療法であってもほとんど全額を支援してくれる仕組みのように受け取れる。 広告主は政府でも健保組合でもない。抗がん剤などを輸入・販売している私企業だ。はて、企業利潤の社会還元?と一瞬感激しかかったが、早飲み込みだった。保健所で患者は受給証の交付を受ける。ということは費用負担の出所は都道府県、それに国から補助されるという「公費負担医療」の仕組みだ。それを周知する形をとって、潜在的な薬剤消費者に訴求する広告だったわけだ。 肝炎ウイルスは血液を介して感染する。
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