この国につけるクスリ 社会保障よもやま話
消費税増税収入の行く先
東京福祉大学・大学院教授 喜多村悦史
2010年8月15日号
前回に引き続き、消費増税の話。 「ご存じのように日本は900兆円に届こうとする巨額の借金を抱え、さらに今も税収の穴埋めに大量の赤字国債を発行し続けています。言ってみれば、未来の子どもたちへの借金で財政をやり繰りしている。それがこの国の現実です」 これは、「運命」の参院選投票日、各紙朝刊に載った民主党の広告、菅首相の「国民への手紙」の一節である。事実認識は正しい。無策を続ければギリシャのようになるのは必定だ。 昨年、政権交代が実現したのは、長期政権下で澱のように溜まってきた既得権と無駄遣い構造を、国民が本気で「どうにかしないと」と考えたからだ。だから事業仕分けを国民は歓迎した。だが、少し掘り進んだところで息切れし、政権の思惑で切り込みに濃淡が付けられた。国民が自民党政権時代と代わり映えしないと思い始めたところで、参院選前の「消費税を10%に倍...
前回に引き続き、消費増税の話。 「ご存じのように日本は900兆円に届こうとする巨額の借金を抱え、さらに今も税収の穴埋めに大量の赤字国債を発行し続けています。言ってみれば、未来の子どもたちへの借金で財政をやり繰りしている。それがこの国の現実です」 これは、「運命」の参院選投票日、各紙朝刊に載った民主党の広告、菅首相の「国民への手紙」の一節である。事実認識は正しい。無策を続ければギリシャのようになるのは必定だ。 昨年、政権交代が実現したのは、長期政権下で澱のように溜まってきた既得権と無駄遣い構造を、国民が本気で「どうにかしないと」と考えたからだ。だから事業仕分けを国民は歓迎した。だが、少し掘り進んだところで息切れし、政権の思惑で切り込みに濃淡が付けられた。国民が自民党政権時代と代わり映えしないと思い始めたところで、参院選前の「消費税を10%に倍増
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