OUTLOOK・欧米のMR事情
EU市場での薬剤流通問題
第217回
デルファイ・マネジメント・コンサルタント(DMC)社 植田南人
2010年7月15日号
医薬品マーケティングで、流通戦略は大きなテーマである。日本の医薬品市場における流通戦略も、卸の機能、MSの役割、製薬会社の流通コスト論など問題は山積である。同じように、欧米でも薬剤のサプライチェーンは複雑で問題が多い。とくにEU市場での並行輸入問題は厄介である。EUの医薬品市場の加盟国内では、自由に貿易が可能ということからメンバーの主要国間における価格の大きな違いが並行輸入の問題を起こす。並行輸入によって、自国の薬剤を高く売れる国へ輸出された国では、鞘取引などで利益が減少したり、国内で医薬品の不足が起こり、それを補う形で不正医薬品が横行するリスクが高まる。実際、07年に英国では、カソデックス(ビカルタミド)の3種の異なった偽薬が発見されたという。 このように、並行輸入が日常化し、偽薬が出たり、鞘取引で売上げ利益が失われるようになって以来、...
医薬品マーケティングで、流通戦略は大きなテーマである。日本の医薬品市場における流通戦略も、卸の機能、MSの役割、製薬会社の流通コスト論など問題は山積である。同じように、欧米でも薬剤のサプライチェーンは複雑で問題が多い。とくにEU市場での並行輸入問題は厄介である。EUの医薬品市場の加盟国内では、自由に貿易が可能ということからメンバーの主要国間における価格の大きな違いが並行輸入の問題を起こす。並行輸入によって、自国の薬剤を高く売れる国へ輸出された国では、鞘取引などで利益が減少したり、国内で医薬品の不足が起こり、それを補う形で不正医薬品が横行するリスクが高まる。実際、07年に英国では、カソデックス(ビカルタミド)の3種の異なった偽薬が発見されたという。 このように、並行輸入が日常化し、偽薬が出たり、鞘取引で売上げ利益が失われるようになって以来、欧
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