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この国につけるクスリ 社会保障よもやま話

社会保障給付と司法

東京福祉大学・大学院教授 喜多村悦史

2010年5月1日号

 医療や年金などの社会保障給付は法的な権利である。所定の保険料を納付し、所定の事由に該当することで権利が発生する。 法制度上はそうなのだが、常にすんなり給付を受け取ることができるとは限らない。加入者の給付請求に対して、保険者らが給付要件に該当していないと判断することがあるからだ。そうなると、どちらの主張が正しいのか、黒白をつけなければならない。 元来、法的紛争の処理は「司法」に属し、法曹と呼ばれる弁護士や裁判官の専権分野になるのだが、多くの社会保障制度では、それに先立って「行政府」内の不服申立制度が設けられている。例えば、年金や健康保険では、厚生労働本省に社会保険審査会が置かれ、下部機関である地方厚生局には社会保険審査官が置かれている。 専門性を伴う紛争を手際よく、効率的に処理することで、制度の円滑な運用を図る趣旨であり、加入者側の便宜...  医療や年金などの社会保障給付は法的な権利である。所定の保険料を納付し、所定の事由に該当することで権利が発生する。 法制度上はそうなのだが、常にすんなり給付を受け取ることができるとは限らない。加入者の給付請求に対して、保険者らが給付要件に該当していないと判断することがあるからだ。そうなると、どちらの主張が正しいのか、黒白をつけなければならない。 元来、法的紛争の処理は「司法」に属し、法曹と呼ばれる弁護士や裁判官の専権分野になるのだが、多くの社会保障制度では、それに先立って「行政府」内の不服申立制度が設けられている。例えば、年金や健康保険では、厚生労働本省に社会保険審査会が置かれ、下部機関である地方厚生局には社会保険審査官が置かれている。 専門性を伴う紛争を手際よく、効率的に処理することで、制度の円滑な運用を図る趣旨であり、加入者側の便宜を考

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