皆保険の裏で広がる「失業後の無保険」
医療費全額負担か我慢か…誰にでも起こり得る究極の選択
2010年4月15日号
「なかなか死ねないもんだね」 自宅アパートで骨と皮の状態で発見されたMさん(65歳)が、病院に緊急搬送されるときに呟いた言葉だ。メディカルソーシャルワーカー(MSW)の松本浩一さんは、足の踏み場もないほどにゴミが積み重ねられた暗い部屋の中で、ぬっと盛り上がった一角を見つけた。それは〝体育座り〟をしている人間だった。衰弱した体を横たえるスペースすらない異様な空間で、Mさんはひっそりと「死」の瞬間を待っていたのだという。 Mさんは埼玉県所沢市在住。運送会社で長くトラックの運転手をしていた。正社員で健康保険にも加入していた。しかし、57歳のとき交通事故を起こして解雇される。 食べていくために派遣の清掃員を始めた。月に12万円程度の給料だ。健康保険はない。個人として住んでいる自治体の国保に加入しなければならないが、Mさんはその手続きをしていなかった...
「なかなか死ねないもんだね」 自宅アパートで骨と皮の状態で発見されたMさん(65歳)が、病院に緊急搬送されるときに呟いた言葉だ。メディカルソーシャルワーカー(MSW)の松本浩一さんは、足の踏み場もないほどにゴミが積み重ねられた暗い部屋の中で、ぬっと盛り上がった一角を見つけた。それは〝体育座り〟をしている人間だった。衰弱した体を横たえるスペースすらない異様な空間で、Mさんはひっそりと「死」の瞬間を待っていたのだという。 Mさんは埼玉県所沢市在住。運送会社で長くトラックの運転手をしていた。正社員で健康保険にも加入していた。しかし、57歳のとき交通事故を起こして解雇される。 食べていくために派遣の清掃員を始めた。月に12万円程度の給料だ。健康保険はない。個人として住んでいる自治体の国保に加入しなければならないが、Mさんはその手続きをしていなかった。
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