医療費3割負担が生む受診格差
所得の多寡で「健康格差」、もはやフリーアクセスにあらず
2010年4月1日号
今一度、落ち着いて考えてみたい。もしかしたら医療費の3割負担は「行き過ぎた負担」ではないのか、と。最近明らかにされてきた数々のエビデンスを並べてみて浮かび上がる、素朴な疑問だ。 例えば、昨年12月24日、クリスマスイブの日に国立社会保障・人口問題研究所が公表した『社会保障実態調査』結果。 過去1年間、誰も医療機関にかからなかったという世帯のうち、「健康ではなかったが、受診できなかった」者のいた世帯が17.0%存在し(全世帯比では2.0%)、受診できなかった理由の最多が、「自己負担割合が高いなど経済的理由」(38.4%)だった。そして予想通り、可処分所得が少ないほど受診控えが多かった。 これらの結果の示唆するところは、「3割自己負担というアクセスコントロールは、低所得層に対して選択的に強く効いているのではないか」ということだ。 それは同種の研究でも裏付け...
今一度、落ち着いて考えてみたい。もしかしたら医療費の3割負担は「行き過ぎた負担」ではないのか、と。最近明らかにされてきた数々のエビデンスを並べてみて浮かび上がる、素朴な疑問だ。 例えば、昨年12月24日、クリスマスイブの日に国立社会保障・人口問題研究所が公表した『社会保障実態調査』結果。 過去1年間、誰も医療機関にかからなかったという世帯のうち、「健康ではなかったが、受診できなかった」者のいた世帯が17.0%存在し(全世帯比では2.0%)、受診できなかった理由の最多が、「自己負担割合が高いなど経済的理由」(38.4%)だった。そして予想通り、可処分所得が少ないほど受診控えが多かった。 これらの結果の示唆するところは、「3割自己負担というアクセスコントロールは、低所得層に対して選択的に強く効いているのではないか」ということだ。 それは同種の研究でも裏付けら
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