医薬経済オンライン

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リーダーのための読書論

よど号乗っ取り犯と日本人拉致事件の危険な関係

第37回

株式会社ファーマネットワーク 榎戸誠

2010年4月1日号

 敬愛する読書家のT先輩から薦められて『宿命——「よど号」亡命者たちの秘密工作』(高沢皓司著、新潮文庫)を読み始めたのは、あのよど号乗っ取り犯たちはその後、北朝鮮でどんな暮らしをしているのだろうという軽い好奇心からであった。ところが、途中まで読み進んだとき、状況が一変する。なぜならば、私が強い憤りを抱いている北朝鮮による日本人拉致事件と彼らの関係が炙り出されてきたからだ。関係があるというようなあやふやなレベルではなく、とくにヨーロッパにおける一連の日本人拉致は、何とよど号メンバーの妻たちの仕業だったのである。 このドキュメントは、粘り強いジャーナリストの手に成る優れた作品であるにとどまらず、胸を掻き毟られるような内部告発の書でもある。巻末の解説によれば——60年安保闘争と、その高揚の中から生まれた新左翼運動。その最盛期に青春時代を過ごした著者...  敬愛する読書家のT先輩から薦められて『宿命——「よど号」亡命者たちの秘密工作』(高沢皓司著、新潮文庫)を読み始めたのは、あのよど号乗っ取り犯たちはその後、北朝鮮でどんな暮らしをしているのだろうという軽い好奇心からであった。ところが、途中まで読み進んだとき、状況が一変する。なぜならば、私が強い憤りを抱いている北朝鮮による日本人拉致事件と彼らの関係が炙り出されてきたからだ。関係があるというようなあやふやなレベルではなく、とくにヨーロッパにおける一連の日本人拉致は、何とよど号メンバーの妻たちの仕業だったのである。 このドキュメントは、粘り強いジャーナリストの手に成る優れた作品であるにとどまらず、胸を掻き毟られるような内部告発の書でもある。巻末の解説によれば——60年安保闘争と、その高揚の中から生まれた新左翼運動。その最盛期に青春時代を過ごした著者は、

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