医薬経済オンライン

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この国につけるクスリ 社会保障よもやま話

先端医療の採算性

東京福祉大学・大学院教授 喜多村悦史

2010年4月1日号

 ローカル上毛新聞に『がん治療切らずに』と題する記事があった。 国立群馬大学の重粒子線照射施設が完成稼働するが、臓器損傷や副作用が少なく、患者の円滑な社会復帰が期待できるがん治療法であるという。 ただし、重粒子線治療は全国で2ヵ所しか行われていない先端医療であるため、医療保険が適用されない。10年度の診療報酬改定でも見送られた。この治療を受ける患者の直接金銭負担は300万円以上になると見込まれる。費用を工面できる患者が少ないと装置の稼働率は上がらず、却って新たな赤字発生要因となってしまう。いいことだと思って始めたのに、社会の役には立たず、宝の持ち腐れになる。よくある構図だ。 群大重粒子センターでは、「治療効果が高いことはハッキリしているので、医療保険の診療報酬支払対象にすべき」と主張する。だが、保険適用されるはずという「見込み」で設備導入した...  ローカル上毛新聞に『がん治療切らずに』と題する記事があった。 国立群馬大学の重粒子線照射施設が完成稼働するが、臓器損傷や副作用が少なく、患者の円滑な社会復帰が期待できるがん治療法であるという。 ただし、重粒子線治療は全国で2ヵ所しか行われていない先端医療であるため、医療保険が適用されない。10年度の診療報酬改定でも見送られた。この治療を受ける患者の直接金銭負担は300万円以上になると見込まれる。費用を工面できる患者が少ないと装置の稼働率は上がらず、却って新たな赤字発生要因となってしまう。いいことだと思って始めたのに、社会の役には立たず、宝の持ち腐れになる。よくある構図だ。 群大重粒子センターでは、「治療効果が高いことはハッキリしているので、医療保険の診療報酬支払対象にすべき」と主張する。だが、保険適用されるはずという「見込み」で設備導入したのだ

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