医薬経済オンライン

医療・医薬業界をさまざまな視点・論点から示すメディア

リーダーのための読書論

晴耕雨読という理想的な生活を夢見て

第36回

株式会社ファーマネットワーク 榎戸誠

2010年3月1日号

 私が今、一番羨ましいのは、細川護熙(もりひろ)である。彼が名門の出だから、あるいは県知事、首相まで上り詰めたから羨ましいのではない。60歳を期して、政界からすっぱりと足を洗い、郊外に閑居し、晴耕雨読の生活を送っているから羨ましいのだ。 『不東庵日常』(細川護熙著、小学館)には、湯河原の私邸・不東庵での著者の晴耕雨読と作陶の日々が淡々と描かれている。彼は60歳での隠棲を前々から考えていたと言うが、これほどきっぱりと実行できる者は稀である。先ず、この決断力と実行力が羨ましい。西行や良寛の生き方や歌に長く惹かれてきたこと、鴨長明や吉田兼好の随筆を読んで共感を深めてきたことに影響されていると述べている。 閑居の舞台は、母方の祖母(近衛文麿の妻・千代子)が遺してくれた神奈川県・湯河原の500坪の土地と30坪の平屋建ての木造家屋である。ここに居を移し、わず...  私が今、一番羨ましいのは、細川護熙(もりひろ)である。彼が名門の出だから、あるいは県知事、首相まで上り詰めたから羨ましいのではない。60歳を期して、政界からすっぱりと足を洗い、郊外に閑居し、晴耕雨読の生活を送っているから羨ましいのだ。 『不東庵日常』(細川護熙著、小学館)には、湯河原の私邸・不東庵での著者の晴耕雨読と作陶の日々が淡々と描かれている。彼は60歳での隠棲を前々から考えていたと言うが、これほどきっぱりと実行できる者は稀である。先ず、この決断力と実行力が羨ましい。西行や良寛の生き方や歌に長く惹かれてきたこと、鴨長明や吉田兼好の随筆を読んで共感を深めてきたことに影響されていると述べている。 閑居の舞台は、母方の祖母(近衛文麿の妻・千代子)が遺してくれた神奈川県・湯河原の500坪の土地と30坪の平屋建ての木造家屋である。ここに居を移し、わずか

有料会員限定

会員登録(有料)
この記事をお読みいただくためには、会員登録(有料)が必要です。
新規会員登録とマイページ > 購読情報から購入手続きをお願いいたします。
※IDをお持ちの方はログインからお進みください

【会員登録方法】
会員登録をクリックしていただくと、新規会員仮登録メール送信画面に移動します。
メールアドレスを入力して会員登録をお願い致します。
1ユーザーごとの登録をお願い致します。(1ユーザー1アカウントです)

googleAdScence