この国につけるクスリ 社会保障よもやま話
企業年金と高齢者雇用
東京福祉大学・大学院教授 喜多村悦史
2010年1月15日号
日本航空の再建に、昨年から世間の耳目が集まっている。 日航のスチュワーデスは空港までハイヤーで送迎と聞いたのは遠い昔。今は一般社会との賃金隔絶はあまりないようだが、企業年金だけは手厚く、公的年金並みの加算を受け取っている者も少なくないとか。その年金額を、会社の危機なのだから下げてはどうかという話になり、OB(受給者)が反発。年金額引き下げに必要な3分の2の同意も危ぶまれ、それなら国会で特別法を制定しようかという強行策も浮上。公的資金注入を巡る国民への説明責任が背景にあるが、ことは憲法上の財産権にも関わる問題だ(本号がお手元に届く頃には決着がついているはずだ)。 こうした問題を回避するにはどうすればいいのか。企業年金を生涯支給するところが多いが、それを定年時から一定期間だけの有期支給に改めるのだ。そうすれば既得権者は一定年数でいなくなる。...
日本航空の再建に、昨年から世間の耳目が集まっている。 日航のスチュワーデスは空港までハイヤーで送迎と聞いたのは遠い昔。今は一般社会との賃金隔絶はあまりないようだが、企業年金だけは手厚く、公的年金並みの加算を受け取っている者も少なくないとか。その年金額を、会社の危機なのだから下げてはどうかという話になり、OB(受給者)が反発。年金額引き下げに必要な3分の2の同意も危ぶまれ、それなら国会で特別法を制定しようかという強行策も浮上。公的資金注入を巡る国民への説明責任が背景にあるが、ことは憲法上の財産権にも関わる問題だ(本号がお手元に届く頃には決着がついているはずだ)。 こうした問題を回避するにはどうすればいいのか。企業年金を生涯支給するところが多いが、それを定年時から一定期間だけの有期支給に改めるのだ。そうすれば既得権者は一定年数でいなくなる。年金
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