薬剤経済学
有効性比較研究の実際
第1回 MS4剤費用対効果の方法
2010年1月1日号
有効性比較研究は拡充が進み、数年後には臨床判断の主たる情報になっていく。2009年初めの景気刺激策で、米国政府は先取りして研究に着手する2年分の予算を計上し、医療改革法案は本格的な体制整備を志向している。 ジェネリック製剤が示すブランド製剤に対抗する有効性の衝撃は経験済みだが、〝旬〟のブランド間の比較は主力製剤の評価を直接的に動かすだけあって利害・明暗が強く現れる。自社製剤をよく見せる研究設計に〝工夫〟が凝らされるだろう。工夫は〝似た〟薬剤間の個性、患者特性に応じた薬剤選択の精密化に貢献するが、ブランドAを推すX研究、BとY、CとZが対置して正解を見えなくする状況も生みそうだ。 若いときに発症し、徐々に後退していく炎症性の自己免疫異常の多発性硬化症に対する免疫調整型製剤は、4つのブランド比較が活発に行われてきた領域だ。英国民保健サービス(NHS)にお...
有効性比較研究は拡充が進み、数年後には臨床判断の主たる情報になっていく。2009年初めの景気刺激策で、米国政府は先取りして研究に着手する2年分の予算を計上し、医療改革法案は本格的な体制整備を志向している。 ジェネリック製剤が示すブランド製剤に対抗する有効性の衝撃は経験済みだが、〝旬〟のブランド間の比較は主力製剤の評価を直接的に動かすだけあって利害・明暗が強く現れる。自社製剤をよく見せる研究設計に〝工夫〟が凝らされるだろう。工夫は〝似た〟薬剤間の個性、患者特性に応じた薬剤選択の精密化に貢献するが、ブランドAを推すX研究、BとY、CとZが対置して正解を見えなくする状況も生みそうだ。 若いときに発症し、徐々に後退していく炎症性の自己免疫異常の多発性硬化症に対する免疫調整型製剤は、4つのブランド比較が活発に行われてきた領域だ。英国民保健サービス(NHS)におけ
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