医師不足とは何か
医師会が蓋する「迫り来る危機」
最終回 序章に過ぎない勤務医の惨状
2009年11月15日号
米国のドキュメンタリー映画監督、マイケル・ムーアの『シッコ』を観た人は多いと思うが、ムーアが描きたかったのは米国の医療難民の実態というより、米国政府の好戦的な体質のような印象を受けた。9.11で健康を損ねた消防士や医療従事者が国からの医療支援がないと嘆くと、ムーアは彼らをキューバに連れて行き、恐ろしく安い医療と手厚い看護を体験させ驚嘆させることで、米国の医療の貧困を語る。テロとの戦いと、敵である社会主義国キューバの医療事情、それらが相克して矛盾を露呈する図式は大変わかりやすいが、根底に米国がもつ軍事大国の側面が国民医療を貧困にしているというメッセージを潜ませてある。
そうした意味での映画のメッセージはきちんと伝わるが、キューバは社会主義国だから当然としても、対比される国として出てくるカナダ、英国、フランスの医療制度は映画を観た多くの米国...
米国のドキュメンタリー映画監督、マイケル・ムーアの『シッコ』を観た人は多いと思うが、ムーアが描きたかったのは米国の医療難民の実態というより、米国政府の好戦的な体質のような印象を受けた。9.11で健康を損ねた消防士や医療従事者が国からの医療支援がないと嘆くと、ムーアは彼らをキューバに連れて行き、恐ろしく安い医療と手厚い看護を体験させ驚嘆させることで、米国の医療の貧困を語る。テロとの戦いと、敵である社会主義国キューバの医療事情、それらが相克して矛盾を露呈する図式は大変わかりやすいが、根底に米国がもつ軍事大国の側面が国民医療を貧困にしているというメッセージを潜ませてある。
そうした意味での映画のメッセージはきちんと伝わるが、キューバは社会主義国だから当然としても、対比される国として出てくるカナダ、英国、フランスの医療制度は映画を観た多くの米国民、
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