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企業の見識なきARB配合剤競争

コンプライアンスの向上は薬価に見合うのか

聖マリアンナ医科大学病院薬剤部長 増原慶壮

2009年10月1日号

 結論から言おう。医療現場でも話題になっている「ARB+利尿薬」の配合剤は、〝企業のエゴ〟以外、何ものでもない。  現在、高血圧治療の配合剤は4成分ある。製薬各社が中央社会保険医療協議会に提出した資料によれば、ピーク時の市場規模予測は各社約400億円、合計1600億円を見込んでいるという。言い方は悪いが、古くて安価な利尿薬といずれ特許が切れ後発品が登場するARBを組み合わせただけの医薬品を、これほど売っていいものなのだろうか。当院を訪問するMRは「配合剤はコンプライアンスをよくする」と説明する。だが、コンプライアンスだけで、新薬と同じ高い薬価の医薬品で医療を受ける国民にメリットがあるのか。  高血圧治療に不可欠なのは、その薬剤がガイドラインでどう位置づけられているかだ。そして、ガイドラインが医療現場に浸透しなければ、配合剤といえども安全な使い方の...  結論から言おう。医療現場でも話題になっている「ARB+利尿薬」の配合剤は、〝企業のエゴ〟以外、何ものでもない。  現在、高血圧治療の配合剤は4成分ある。製薬各社が中央社会保険医療協議会に提出した資料によれば、ピーク時の市場規模予測は各社約400億円、合計1600億円を見込んでいるという。言い方は悪いが、古くて安価な利尿薬といずれ特許が切れ後発品が登場するARBを組み合わせただけの医薬品を、これほど売っていいものなのだろうか。当院を訪問するMRは「配合剤はコンプライアンスをよくする」と説明する。だが、コンプライアンスだけで、新薬と同じ高い薬価の医薬品で医療を受ける国民にメリットがあるのか。  高血圧治療に不可欠なのは、その薬剤がガイドラインでどう位置づけられているかだ。そして、ガイドラインが医療現場に浸透しなければ、配合剤といえども安全な使い方の担

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