リーダーのための読書論
権力奪取の必勝法
第31回
株式会社ファーマネットワーク 榎戸 誠
2009年10月1日号
政治の場であろうと、企業内外の権力闘争であろうと、権力奪取をめざす者にとって最高のテキストは、『王政復古——慶応三年十二月九日の政変』(井上勲著、中公新書。出版元品切れ)だと思う。 慶應3(1867)年10月14日に徳川慶喜が大政を奉還した後も、これでは不十分と考え、慶喜の再登場を恐れる岩倉具視、西郷隆盛、大久保利通らは、天皇を中心とする真の朝廷政権樹立を実現すべく画策を進め、12月9日に天皇親政を宣言する王政復古の大号令を発令することに成功したのである。王政復古は、これにより、薩長が幕府を戊辰戦争に引きずり込み、その後の鳥羽・伏見の戦いで幕府を敗北させることとなる、正に幕末史の帰趨を決した共同謀議であり、宮廷クーデターであった。 慶喜については、司馬遼太郎が『最後の将軍』で「足利尊氏を逆賊に仕立てることによって独自の史観を確立した水戸学の宗家の出...
政治の場であろうと、企業内外の権力闘争であろうと、権力奪取をめざす者にとって最高のテキストは、『王政復古——慶応三年十二月九日の政変』(井上勲著、中公新書。出版元品切れ)だと思う。 慶應3(1867)年10月14日に徳川慶喜が大政を奉還した後も、これでは不十分と考え、慶喜の再登場を恐れる岩倉具視、西郷隆盛、大久保利通らは、天皇を中心とする真の朝廷政権樹立を実現すべく画策を進め、12月9日に天皇親政を宣言する王政復古の大号令を発令することに成功したのである。王政復古は、これにより、薩長が幕府を戊辰戦争に引きずり込み、その後の鳥羽・伏見の戦いで幕府を敗北させることとなる、正に幕末史の帰趨を決した共同謀議であり、宮廷クーデターであった。 慶喜については、司馬遼太郎が『最後の将軍』で「足利尊氏を逆賊に仕立てることによって独自の史観を確立した水戸学の宗家の出身で
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