医薬経済オンライン

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ドクターかでいのくすりの裏技

気の毒な「イヌリン」

第17回

かでい伝次郎

2009年8月1日号

 ちょっと前、古い業界人から相談を受けた。曰く、「これからは慢性腎臓病(CKD)の時代だ。ついてはイヌリン(製品名イヌリード)を売って大儲けしたい」と。イヌリンというのは、菊芋やニラ、タマネギ、ゴボウ、タンポポなどの植物に含まれる多糖類(炭水化物)で、カロリーが低く、また、水に溶けやすい食物繊維(可溶性繊維)として、ダイエット食品に使われる成分だ。だが、この業界人が言っているのは、イヌリンを静脈注射して、腎機能の測定(糸球体濾過量=GFR)に使おうということなのだ。  CKDの重症度はGFRで分類されているので、尿細管で再吸収・分泌されないイヌリンを投与し、イヌリンクリアランスを測定して、GFRとして取り扱うことは、学問的には極めて正しい。だが、イヌリンやチオ硫酸ナトリウムといった外因性物質を静脈注射して得られる腎機能の評価尺度は、厳密...  ちょっと前、古い業界人から相談を受けた。曰く、「これからは慢性腎臓病(CKD)の時代だ。ついてはイヌリン(製品名イヌリード)を売って大儲けしたい」と。イヌリンというのは、菊芋やニラ、タマネギ、ゴボウ、タンポポなどの植物に含まれる多糖類(炭水化物)で、カロリーが低く、また、水に溶けやすい食物繊維(可溶性繊維)として、ダイエット食品に使われる成分だ。だが、この業界人が言っているのは、イヌリンを静脈注射して、腎機能の測定(糸球体濾過量=GFR)に使おうということなのだ。  CKDの重症度はGFRで分類されているので、尿細管で再吸収・分泌されないイヌリンを投与し、イヌリンクリアランスを測定して、GFRとして取り扱うことは、学問的には極めて正しい。だが、イヌリンやチオ硫酸ナトリウムといった外因性物質を静脈注射して得られる腎機能の評価尺度は、厳密では

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