医薬経済オンライン

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世界の医薬品業界

米国の景気後退の影響を読む

第26回

医薬評論家 五條正也

2009年5月15日号

 100年に1度とされる経済危機で、自動車や設備投資に関連する企業は大打撃を受けている。米国の新車販売台数は07年の1620万台から、今年は1000万台を割るとも予想されている。消えた消費がほかに向かうならともかく、まだ自動車に代わる産業はないため、今後さらに失業率が高まるのは確実だ。09年3月の失業率はすでに8.5%に達しており、1年で3.4ポイントも増えた。  その自動車産業は、米国で最大の医療費を負担している。とくに大きいのは、30年以上勤務した退職者向けの医療保険負担である。昨年末時点で、ビッグ3の退職者向け医療保険基金(VEBA)への債務は360億ドルを超えるが、売上げが何割も減少した赤字企業が、そのような債務を払えるわけがない。最大の医療費負担産業が従来通りの医療費を払えなくなり、失業者が増えるとなれば、無保険者が増えると同時に、医療費にはコスト削減圧力...  100年に1度とされる経済危機で、自動車や設備投資に関連する企業は大打撃を受けている。米国の新車販売台数は07年の1620万台から、今年は1000万台を割るとも予想されている。消えた消費がほかに向かうならともかく、まだ自動車に代わる産業はないため、今後さらに失業率が高まるのは確実だ。09年3月の失業率はすでに8.5%に達しており、1年で3.4ポイントも増えた。  その自動車産業は、米国で最大の医療費を負担している。とくに大きいのは、30年以上勤務した退職者向けの医療保険負担である。昨年末時点で、ビッグ3の退職者向け医療保険基金(VEBA)への債務は360億ドルを超えるが、売上げが何割も減少した赤字企業が、そのような債務を払えるわけがない。最大の医療費負担産業が従来通りの医療費を払えなくなり、失業者が増えるとなれば、無保険者が増えると同時に、医療費にはコスト削減圧力が増

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