DPC環境下の医療産業戦略
DPC別コストベンチマーク
第1回 肺がん化学療法
グローバルヘルス・コンサルティング会長 国際医療経済学者 アキよしかわ
2009年5月1日号
これから数回、疾病別コスト分析に関して語る。これまで、がんの化学療法では、在院日数の長い病院ほど、出来高からDPCへの移行で増収傾向にあることを紹介した。この在院日数と増減収との右上がりの関係はDPCの基本的なお約束、「在院日数が長くなれば減収傾向になりますよ」に反し、在院日数を延ばすインセンティブを病院に向けて発信していることになってしまう。この不可思議な現象は、抗がん剤がきわめて高額な薬剤であること、そしてDPC病院の在院日数に大きなバラツキがあることに起因している。 図1はそのような「右上がりの関係」を示したものだ。これはDPC分析システム「イブ」による肺がんの化学療法の例で、それぞれの円は個々の病院を、円の大きさはその病院での該当DPC症例数を示している。横軸は平均在院日数を、縦軸が出来高とDPCでの収入を比較した増減収を示して...
これから数回、疾病別コスト分析に関して語る。これまで、がんの化学療法では、在院日数の長い病院ほど、出来高からDPCへの移行で増収傾向にあることを紹介した。この在院日数と増減収との右上がりの関係はDPCの基本的なお約束、「在院日数が長くなれば減収傾向になりますよ」に反し、在院日数を延ばすインセンティブを病院に向けて発信していることになってしまう。この不可思議な現象は、抗がん剤がきわめて高額な薬剤であること、そしてDPC病院の在院日数に大きなバラツキがあることに起因している。 図1はそのような「右上がりの関係」を示したものだ。これはDPC分析システム「イブ」による肺がんの化学療法の例で、それぞれの円は個々の病院を、円の大きさはその病院での該当DPC症例数を示している。横軸は平均在院日数を、縦軸が出来高とDPCでの収入を比較した増減収を示してい
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