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時流遡航

夢想愚考―わがこころの旅路

第7回 ─言葉の旅人・大岡信さんを偲んで─

ジャーナリスト 本田成親

2017年5月1日号

 4月5日、詩人で批評家の大岡信さんが86歳の天寿を全うされた。その業績や足跡についてはすでに各種メディアで詳細かつ大々的に報道されてきたので、私が殊更あれこれ述べるまでもないであろう。 大岡さんは現代最高峰の詩人のひとりとして、真の意味での言葉というものの重要性を独特の表現力と手法をもって静やかに、しかし深く鋭くこの社会に訴え続けてこられたのだった。詩人や歌人、俳人などというと感覚的かつ情動的な言葉を用いその内面に渦巻く喜怒哀楽の激しい感情を表出する人たちだというふうに世間では誤解されがちである。だが、それは一般社会の人々の勝手な思い込みであって、優れた詩人や歌人、俳人は、見方によっては科学者以上に理性的で、驚くほどに冷静沈着な存在なのである。詩歌のもつ社会的な意義が過小評価されてきている昨今、私たちはその実状を幾分でも反省してみる必要...  4月5日、詩人で批評家の大岡信さんが86歳の天寿を全うされた。その業績や足跡についてはすでに各種メディアで詳細かつ大々的に報道されてきたので、私が殊更あれこれ述べるまでもないであろう。 大岡さんは現代最高峰の詩人のひとりとして、真の意味での言葉というものの重要性を独特の表現力と手法をもって静やかに、しかし深く鋭くこの社会に訴え続けてこられたのだった。詩人や歌人、俳人などというと感覚的かつ情動的な言葉を用いその内面に渦巻く喜怒哀楽の激しい感情を表出する人たちだというふうに世間では誤解されがちである。だが、それは一般社会の人々の勝手な思い込みであって、優れた詩人や歌人、俳人は、見方によっては科学者以上に理性的で、驚くほどに冷静沈着な存在なのである。詩歌のもつ社会的な意義が過小評価されてきている昨今、私たちはその実状を幾分でも反省してみる必要があ

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