読む医療―医師が書いた本の斜め読み―
すでに深刻な日本のギャンブル依存症
第73回
鍛冶孝雄
2017年5月15日号
読書は、時として自分の人生のどこかに、実は「瀬戸際」があったことを教えてくれる。今回読んだ帚木蓬生著、『ギャンブル依存とたたかう』(新潮選書)は、もしかしたら違った人生があったかもしれないとの想像をもたらした。 読書子の私はギャンブルを知らないわけではない。学生時代はパチンコと麻雀に明け暮れ、現在でも競馬の大レースでは少額だが馬券も買う。たまに気晴らしや待ち合わせの時間潰しにパチンコ店に入ることもある。だが、同書を読むと、よく自分がギャンブル依存症にならなかったなと思い知らされる。ギャンブルは面白いと自覚できるからだ。 一方で、平日午前9時頃のパチンコ店の前では、老若男女が開店前なのに列をつくっている。見るたびにどこか、表現しがたいが心が痛む。並んでまで開店を待つのは、普通の光景ではない。「病んでいる」という漠然とした印象を持っていた...
読書は、時として自分の人生のどこかに、実は「瀬戸際」があったことを教えてくれる。今回読んだ帚木蓬生著、『ギャンブル依存とたたかう』(新潮選書)は、もしかしたら違った人生があったかもしれないとの想像をもたらした。 読書子の私はギャンブルを知らないわけではない。学生時代はパチンコと麻雀に明け暮れ、現在でも競馬の大レースでは少額だが馬券も買う。たまに気晴らしや待ち合わせの時間潰しにパチンコ店に入ることもある。だが、同書を読むと、よく自分がギャンブル依存症にならなかったなと思い知らされる。ギャンブルは面白いと自覚できるからだ。 一方で、平日午前9時頃のパチンコ店の前では、老若男女が開店前なのに列をつくっている。見るたびにどこか、表現しがたいが心が痛む。並んでまで開店を待つのは、普通の光景ではない。「病んでいる」という漠然とした印象を持っていた。依
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