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OBSERVER

大久保幸夫・リクルートワークス研究所所長

2017年6月1日号

転勤はマイナスでしかない──転勤は原則廃止すべきとの主張ですが、なぜでしょうか。大久保 転勤は時代に合わなくなってきている。この20年間で、専業主婦世帯が減り、共働き世帯が増えてきたからだ。転勤は苦渋の選択を迫られる。夫の赴任先に妻が仕事を辞めてついていけば、女性のキャリア形成を阻害する。単身赴任だとワークライフバランスは崩れる。共働き世帯が増えたことで転勤の弊害が大きくなった。──転勤を一気に廃止するのは非常に困難ではないでしょうか。大久保 それでも企業がやめなければいけない理由は、明確にある。多くの調査では、過半数の学生は地元志向が強く、地元で勤務したいと考える。労働人口が減る流れのなかで、人材確保の戦略上「転勤あり」はマイナスでしかない。「地域限定社員」が本来の姿で、そちらを日本の標準にすべきだ。 転勤は、1人あたり「年100~150万... 転勤はマイナスでしかない──転勤は原則廃止すべきとの主張ですが、なぜでしょうか。大久保 転勤は時代に合わなくなってきている。この20年間で、専業主婦世帯が減り、共働き世帯が増えてきたからだ。転勤は苦渋の選択を迫られる。夫の赴任先に妻が仕事を辞めてついていけば、女性のキャリア形成を阻害する。単身赴任だとワークライフバランスは崩れる。共働き世帯が増えたことで転勤の弊害が大きくなった。──転勤を一気に廃止するのは非常に困難ではないでしょうか。大久保 それでも企業がやめなければいけない理由は、明確にある。多くの調査では、過半数の学生は地元志向が強く、地元で勤務したいと考える。労働人口が減る流れのなかで、人材確保の戦略上「転勤あり」はマイナスでしかない。「地域限定社員」が本来の姿で、そちらを日本の標準にすべきだ。 転勤は、1人あたり「年100~150万円」

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