医薬経済オンライン

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現場が望む社会保障制度

介護保険の原則を「再考」する

第25回

東京財団研究員兼政策プロデューサー 三原 岳

2017年6月1日号

 18年という歳月は人の記憶を風化させるに十分な長さである。今年で18年目を迎えた介護保険制度も累次の改正を経て、その原則は風化しつつあり、最近の制度改正を見ると、国の政策担当者でさえ原則を理解していないのではないかと思うときが多々ある。 そこで、今回から5回にわたり、制度の歴史や原則に立ち返りつつ、介護保険制度のあり方を考える。第1回は迂遠に見えるかもしれないが、「高齢者による自己選択」という制度の原則を再確認したい。32年前の映画の描写 介護保険制度が創設された背景を理解するうえで、85年公開の映画『花いちもんめ』はよい教材と言える。映画の主演は十朱幸代と西郷輝彦の夫妻。2人は子どもと一緒に大阪市内のマンションに住んでおり、認知症となった西郷の父を島根県から引き取る。しかし、西郷は銀行員、十朱は花屋でアルバイトする共働き。その間に認知症の父...  18年という歳月は人の記憶を風化させるに十分な長さである。今年で18年目を迎えた介護保険制度も累次の改正を経て、その原則は風化しつつあり、最近の制度改正を見ると、国の政策担当者でさえ原則を理解していないのではないかと思うときが多々ある。 そこで、今回から5回にわたり、制度の歴史や原則に立ち返りつつ、介護保険制度のあり方を考える。第1回は迂遠に見えるかもしれないが、「高齢者による自己選択」という制度の原則を再確認したい。32年前の映画の描写 介護保険制度が創設された背景を理解するうえで、85年公開の映画『花いちもんめ』はよい教材と言える。映画の主演は十朱幸代と西郷輝彦の夫妻。2人は子どもと一緒に大阪市内のマンションに住んでおり、認知症となった西郷の父を島根県から引き取る。しかし、西郷は銀行員、十朱は花屋でアルバイトする共働き。その間に認知症の父は徘

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