審査建言
偽薬事件が提起した薬事規制と現実の乖離
医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団理事長 土井脩
2017年6月15日号
偽薬は海外の話で、管理の行き届いている日本では偽薬などはあり得ないと信じられていた。しかし、偽薬が登場し、それも医療機関や調剤薬局ではなく、患者により発見されたという、信じられないことが奈良県で起きた。幸いにして、患者がいつもと違う薬だと気が付いてくれたので、健康被害にはつながらなかった。もし、これが初回の調剤だったら、患者も気が付かなかった可能性が高い。 偽薬は、米国で問題となったタイレノール事件のような、有毒物質を混入させるタンパリングとは異なり、多くの場合は有効成分がわずかしか入っていない、あるいはまったく入っていなかったりする場合が多い。しかし、中国産の偽原料を用いた偽ヘパリン事件などでは多くの健康被害につながっており、油断はできない。 実は、日本でも80年代には医薬品製造業の許可を有している製薬企業が大掛かりにブランド品の偽薬...
偽薬は海外の話で、管理の行き届いている日本では偽薬などはあり得ないと信じられていた。しかし、偽薬が登場し、それも医療機関や調剤薬局ではなく、患者により発見されたという、信じられないことが奈良県で起きた。幸いにして、患者がいつもと違う薬だと気が付いてくれたので、健康被害にはつながらなかった。もし、これが初回の調剤だったら、患者も気が付かなかった可能性が高い。 偽薬は、米国で問題となったタイレノール事件のような、有毒物質を混入させるタンパリングとは異なり、多くの場合は有効成分がわずかしか入っていない、あるいはまったく入っていなかったりする場合が多い。しかし、中国産の偽原料を用いた偽ヘパリン事件などでは多くの健康被害につながっており、油断はできない。 実は、日本でも80年代には医薬品製造業の許可を有している製薬企業が大掛かりにブランド品の偽薬を製
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