時流遡航
夢想愚考―わがこころの旅路
第11回 ─ドナルド・キーンさんの「奥の細道」考証─
本田成親
2017年7月1日号
ドナルド・キーンさんによる『奥の細道』関連の講演会が催されたのは、尾形仂さんと私による講演のあった翌年のことだった。その講話は前年の尾形さんのそれとも重なるところがあったが、自他の新説や新解釈を多々交えての展開となったので、興味深いことこのうえなかった。学識豊かなキーンさんのことゆえ、当然、講演の内容は多岐にわたったが、大筋としては「奥の細道には事実と異なる記述があった」という前年の尾形さんの話をより深めていくかたちをとることになった。「フィクション部分があるからといって奥の細道の文学的価値が損なわれるわけではない。むしろそのことによって作品の芸術性が一段と高められている」と予めお断わりになったうえで、キーンさんは説得力のある考察をもとにしていくつかのフィクション部分を的確に指摘されたのであった。 どうやら、自らの作品を納得ゆくまで推...
ドナルド・キーンさんによる『奥の細道』関連の講演会が催されたのは、尾形仂さんと私による講演のあった翌年のことだった。その講話は前年の尾形さんのそれとも重なるところがあったが、自他の新説や新解釈を多々交えての展開となったので、興味深いことこのうえなかった。学識豊かなキーンさんのことゆえ、当然、講演の内容は多岐にわたったが、大筋としては「奥の細道には事実と異なる記述があった」という前年の尾形さんの話をより深めていくかたちをとることになった。「フィクション部分があるからといって奥の細道の文学的価値が損なわれるわけではない。むしろそのことによって作品の芸術性が一段と高められている」と予めお断わりになったうえで、キーンさんは説得力のある考察をもとにしていくつかのフィクション部分を的確に指摘されたのであった。 どうやら、自らの作品を納得ゆくまで推敲し
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