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医政羅針盤

医局制度と新専門医制度改革

山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座教授 村上正泰

2017年8月1日号

 混迷を続けていた専門医制度改革は、制度設計上の見直しが図られた結果、当初の予定よりも1年遅れの18年4月から新制度がスタートする方向で、最終的な調整が進められている。この間の議論で問題視されたのが、専門医研修の基幹施設が大学病院中心の体制になると、専門医取得をめざす専攻医が偏在し、市中病院が医師確保に困ってしまうなど、地域医療に深刻な影響を与えるのではないかという懸念だ。言い換えれば、専門医制度改革を巡る議論の根底には、大学の役割や医局制度のあり方に関する問題が潜んでいる。 従来の医師の一般的なキャリアパスは、大学のそれぞれの臨床系講座の医局に所属し、大学病院や関連病院を行き来しながら、先輩から指導を受け、医師としての技能を身に付けていくというものであった。こうした医局制度は、一般企業などの雇用制度と比較すると、極めて特異な仕組みである...  混迷を続けていた専門医制度改革は、制度設計上の見直しが図られた結果、当初の予定よりも1年遅れの18年4月から新制度がスタートする方向で、最終的な調整が進められている。この間の議論で問題視されたのが、専門医研修の基幹施設が大学病院中心の体制になると、専門医取得をめざす専攻医が偏在し、市中病院が医師確保に困ってしまうなど、地域医療に深刻な影響を与えるのではないかという懸念だ。言い換えれば、専門医制度改革を巡る議論の根底には、大学の役割や医局制度のあり方に関する問題が潜んでいる。 従来の医師の一般的なキャリアパスは、大学のそれぞれの臨床系講座の医局に所属し、大学病院や関連病院を行き来しながら、先輩から指導を受け、医師としての技能を身に付けていくというものであった。こうした医局制度は、一般企業などの雇用制度と比較すると、極めて特異な仕組みである。 

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