医薬経済オンライン

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読む医療―医師が書いた本の斜め読み―

オールトライアルズ運動の必要を語るが

第81回

鍛冶孝雄

2017年9月15日号

 製薬企業や医薬品の承認審査を行う規制当局は、申請された新薬、あるいは発売後の医薬品に関する治験、臨床試験などのデータをすべて開示すべきだ、との主張を基本として英国で12年頃から展開されている運動が「オールトライアルズ」だ。運動を進める人々も「オールトライアルズ・グループ」と呼ばれている。この運動が、すでにいくつかの世界的大手製薬企業によるデータ開示プログラムの公表や、規制当局による開示促進政策につながっている。 率直に言って、このコラムの読書子である私は、オールトライアルズという言葉は聞いたことがあったが、運動自体についてその内容は承知していなかった。 今回の読書はそのオールトライアルズ運動のリーダーであるベン・ゴールドエイカー著の『悪の製薬』(青土社、忠平美幸・増子久美訳)。15年6月に刊行された。原著は12年に出されているが、13年に改訂...  製薬企業や医薬品の承認審査を行う規制当局は、申請された新薬、あるいは発売後の医薬品に関する治験、臨床試験などのデータをすべて開示すべきだ、との主張を基本として英国で12年頃から展開されている運動が「オールトライアルズ」だ。運動を進める人々も「オールトライアルズ・グループ」と呼ばれている。この運動が、すでにいくつかの世界的大手製薬企業によるデータ開示プログラムの公表や、規制当局による開示促進政策につながっている。 率直に言って、このコラムの読書子である私は、オールトライアルズという言葉は聞いたことがあったが、運動自体についてその内容は承知していなかった。 今回の読書はそのオールトライアルズ運動のリーダーであるベン・ゴールドエイカー著の『悪の製薬』(青土社、忠平美幸・増子久美訳)。15年6月に刊行された。原著は12年に出されているが、13年に改訂版が

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