医薬経済オンライン

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現場が望む社会保障制度

最近の介護保険改革を考える

第29回

ニッセイ基礎研究所准主任研究員(前東京財団研究員) 三原 岳

2017年10月1日号

 米国の政治学者、チャールズ・リンドブロムは多様な利害を調整する民主主義国家では少しずつ改革を進める「漸増主義」になる点を指摘した(『政策形成の過程』)。だが、漸増主義では個別に利害調整を図るため、それぞれの場面で辻褄が合ったとしても、「老舗の温泉旅館」のように建て増しが続き、全体の整合性が取れなくなる欠点を持つ。過去4回で考察した介護保険についても原則から逸脱した改正がなされており、介護保険を再考する最終回では、すでに触れた制度の原則を踏まえつつ、最近の制度改正の問題点を考える。①すり替えられた「自立支援」の定義 まず、18年4月の改正から取り上げる。その目玉は「自立支援」の強化である。ここでは埼玉県和光市、大分県の事例を参考にしつつ、介護保険財政を運営する市町村がリハビリテーションを強化することで、要介護状態の予防または悪化の防止、改善...  米国の政治学者、チャールズ・リンドブロムは多様な利害を調整する民主主義国家では少しずつ改革を進める「漸増主義」になる点を指摘した(『政策形成の過程』)。だが、漸増主義では個別に利害調整を図るため、それぞれの場面で辻褄が合ったとしても、「老舗の温泉旅館」のように建て増しが続き、全体の整合性が取れなくなる欠点を持つ。過去4回で考察した介護保険についても原則から逸脱した改正がなされており、介護保険を再考する最終回では、すでに触れた制度の原則を踏まえつつ、最近の制度改正の問題点を考える。①すり替えられた「自立支援」の定義 まず、18年4月の改正から取り上げる。その目玉は「自立支援」の強化である。ここでは埼玉県和光市、大分県の事例を参考にしつつ、介護保険財政を運営する市町村がリハビリテーションを強化することで、要介護状態の予防または悪化の防止、改善を

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