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費用対効果評価による医療費抑制に異議あり

2017年10月1日号

 筆者の手元に今では貴重な資料となっている報告書がある。1988年3月に発行された「薬物治療の技術的評価─医薬品のコスト・ベネフィット分析に関する研究─」だ。日本製薬工業協会の委託研究として統計研究会でまとめられ、β遮断剤による虚血性心疾患の治療、内服用抗菌性化学療法剤による下気道感染症治療、B型肝炎ワクチンの接種を取り上げて、それぞれのコスト・ベネフィットを分析評価したものである。 研究結果として、日本全体のβ遮断剤による1年間の便益は約3480億円、内服用抗菌性化学療法剤の便益は約2729億円、B型肝炎ワクチンによる純便益は約161億円、と推定している。 当時の統計研究会理事長だった故篠原三代平氏の序文には、「欧米ではこの種の研究は、早くから行われており、その実証例もみられるが日本では諸種の事情により極めて少なく、本格的分析は初めての試...  筆者の手元に今では貴重な資料となっている報告書がある。1988年3月に発行された「薬物治療の技術的評価─医薬品のコスト・ベネフィット分析に関する研究─」だ。日本製薬工業協会の委託研究として統計研究会でまとめられ、β遮断剤による虚血性心疾患の治療、内服用抗菌性化学療法剤による下気道感染症治療、B型肝炎ワクチンの接種を取り上げて、それぞれのコスト・ベネフィットを分析評価したものである。 研究結果として、日本全体のβ遮断剤による1年間の便益は約3480億円、内服用抗菌性化学療法剤の便益は約2729億円、B型肝炎ワクチンによる純便益は約161億円、と推定している。 当時の統計研究会理事長だった故篠原三代平氏の序文には、「欧米ではこの種の研究は、早くから行われており、その実証例もみられるが日本では諸種の事情により極めて少なく、本格的分析は初めての試みで

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