強い組織づくりは危機管理そのもの

平時医療体制の破錠に備える～電光石火こそ最良の有事医療～

強い組織づくりは危機管理そのもの

第37回

愛知医科大学　非常勤講師　照井資規

2017年10月1日号

「人は人に従うものであり、階級や制度に従うものではない」　これが、筆者が陸上自衛隊に２等陸士から入隊し、陸曹を経て幹部になり、退職するまでの20年間に最も強く認識したことだ。これだけ装備がハイテク化する時代に人の要素、とくに感情面が及ぼす影響が大きいという事実を目の当たりにしたのは、意外であった。　この連載を通じ、筆者は悪意を持った人の自由意思による災害が最も対処が難しいことを述べてきた。自然災害や事故は、発災時が最も破壊が大きくかつ危険度が高い。だが、時が経つにつれて収束していくことが多いため、先を読みやすく、救助活動計画も復興計画も立てやすい。　その一方で、人の悪意がもたらす災害は最初の衝撃は小さく、混乱と人の蝟集を招いたうえで、大規模な殺傷が行われたり、本来の目標物の破壊が行われたりする。人がもたらす災害には強い組織力を有した人の力... 「人は人に従うものであり、階級や制度に従うものではない」　これが、筆者が陸上自衛隊に２等陸士から入隊し、陸曹を経て幹部になり、退職するまでの20年間に最も強く認識したことだ。これだけ装備がハイテク化する時代に人の要素、とくに感情面が及ぼす影響が大きいという事実を目の当たりにしたのは、意外であった。　この連載を通じ、筆者は悪意を持った人の自由意思による災害が最も対処が難しいことを述べてきた。自然災害や事故は、発災時が最も破壊が大きくかつ危険度が高い。だが、時が経つにつれて収束していくことが多いため、先を読みやすく、救助活動計画も復興計画も立てやすい。　その一方で、人の悪意がもたらす災害は最初の衝撃は小さく、混乱と人の蝟集を招いたうえで、大規模な殺傷が行われたり、本来の目標物の破壊が行われたりする。人がもたらす災害には強い組織力を有した人の力でな

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