読む医療―医師が書いた本の斜め読み―
医療史跡で見える近代日本医学史
第83回
鍛冶孝雄
2017年10月15日号
医療を中心とした取材活動を続ける間は、全国に出かけることが多かった。医療は地域での人々の営みのひとつであり、取材対象は全国にあるし、またそれぞれに特色もあり、事情も違う。 振り返ると、約40年の取材活動で、行ったことのない都道府県はひとつもないことに気付く。かなり遠くの小さな集落を訪れたり、いくつかの離島の医師を訪ねた記憶が、次々と蘇える。自分自身驚くのだが、記憶が呼び戻されると、かなり鮮明にそのときどきの情景が現れ、またそのときに憶えた感慨も戻ってくる。 その感慨のひとつに、いくつかの取材では医療関連の史跡を目にし、いつか医療史跡を訪ね歩く旅をしたいと考えたことがある。しかし、いつもちらりと考えただけで、それはいつの間にか、果たすことはできない夢のような話になった。今からでは、体力的にも、経済的にも実現は難しいと諦めるしかない。 学生...
医療を中心とした取材活動を続ける間は、全国に出かけることが多かった。医療は地域での人々の営みのひとつであり、取材対象は全国にあるし、またそれぞれに特色もあり、事情も違う。 振り返ると、約40年の取材活動で、行ったことのない都道府県はひとつもないことに気付く。かなり遠くの小さな集落を訪れたり、いくつかの離島の医師を訪ねた記憶が、次々と蘇える。自分自身驚くのだが、記憶が呼び戻されると、かなり鮮明にそのときどきの情景が現れ、またそのときに憶えた感慨も戻ってくる。 その感慨のひとつに、いくつかの取材では医療関連の史跡を目にし、いつか医療史跡を訪ね歩く旅をしたいと考えたことがある。しかし、いつもちらりと考えただけで、それはいつの間にか、果たすことはできない夢のような話になった。今からでは、体力的にも、経済的にも実現は難しいと諦めるしかない。 学生時代
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