眺望「医薬街道」
命の値段が問われる「スピンラザ」
近藤正觀
2017年11月1日号
神経の難病である「乳児型脊髄性筋萎縮症」(SMA)の治療薬として画期的な「核酸医薬」である「スピンラザ」が申請後約7ヵ月で、7月にスピード承認され、8月30日に薬価収載された。乳児型脊髄性筋萎縮症は、脊髄の運動神経細胞の機能不全による筋萎縮症で、遺伝的背景により、体幹や手足の筋力が低下していく疾患だ。 SMAの患者は運動ニューロン維持に必要なSMAタンパク質を十分産生することができない。多くの患者は他人の支えなしには座ることもできず、呼吸器による補助なしには2年以上生存することができない。 SMAは遺伝子の異常によって引き起こされ、進行性の運動ニューロン脱落を特徴とする。出生後まもなく死亡する0型から、20歳前後に発症する軽度から中等度で筋力低下が進行するⅣ型まで5段階に分類される。もっとも重篤なタイプの患者は最終的には麻痺状態となり、呼吸...
神経の難病である「乳児型脊髄性筋萎縮症」(SMA)の治療薬として画期的な「核酸医薬」である「スピンラザ」が申請後約7ヵ月で、7月にスピード承認され、8月30日に薬価収載された。乳児型脊髄性筋萎縮症は、脊髄の運動神経細胞の機能不全による筋萎縮症で、遺伝的背景により、体幹や手足の筋力が低下していく疾患だ。 SMAの患者は運動ニューロン維持に必要なSMAタンパク質を十分産生することができない。多くの患者は他人の支えなしには座ることもできず、呼吸器による補助なしには2年以上生存することができない。 SMAは遺伝子の異常によって引き起こされ、進行性の運動ニューロン脱落を特徴とする。出生後まもなく死亡する0型から、20歳前後に発症する軽度から中等度で筋力低下が進行するⅣ型まで5段階に分類される。もっとも重篤なタイプの患者は最終的には麻痺状態となり、呼吸や
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