医薬経済オンライン

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移植医・大島伸一回顧録

愛知方式

第10回

ノンフィクション・ライター 髙橋幸春

2017年11月15日号

 免疫抑制剤「シクロスポリン」の登場で、移植臓器の生着率が劇的に改善しつつあった80年代、腎移植は人工透析よりも経済的な医療になりつつあった。しかし、それは腎臓を提供してくれるドナーが十分にいるという前提が必要だ。当時すでに、慢性腎不全の患者の2割が死体腎移植を希望しているというデータがあったが、どうやって移植臓器を確保するのかという問題は依然として残っていた。 死体から提供される腎臓を移植にするには、3つの課題がある。ひとつは、腎臓提供から移植に至るまで速やかな情報の伝達が可能な組織づくり。2つ目は、いついかなる時にでも患者を収容し、手術ができる施設と移植医の確保。そして、3つめが移植臓器の提供だ。 移植は臓器提供があって初めて成立する医療だ。日本はまだ脳死を人間の死としては認めておらず、心臓が停止したドナーからの臓器摘出しか許されてい...  免疫抑制剤「シクロスポリン」の登場で、移植臓器の生着率が劇的に改善しつつあった80年代、腎移植は人工透析よりも経済的な医療になりつつあった。しかし、それは腎臓を提供してくれるドナーが十分にいるという前提が必要だ。当時すでに、慢性腎不全の患者の2割が死体腎移植を希望しているというデータがあったが、どうやって移植臓器を確保するのかという問題は依然として残っていた。 死体から提供される腎臓を移植にするには、3つの課題がある。ひとつは、腎臓提供から移植に至るまで速やかな情報の伝達が可能な組織づくり。2つ目は、いついかなる時にでも患者を収容し、手術ができる施設と移植医の確保。そして、3つめが移植臓器の提供だ。 移植は臓器提供があって初めて成立する医療だ。日本はまだ脳死を人間の死としては認めておらず、心臓が停止したドナーからの臓器摘出しか許されていなか

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