OBSERVER
ステラファーマ常務取締役・上原幸樹
2017年12月1日号
がん治療の新たなツールをつくる──何を開発しているのですか。上原 ホウ素と中性子の反応を利用した、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に用いる薬剤を開発している。ホウ素の一部は、中性子を吸収すると核分裂を起こし、細胞の大きさと同じくらいの範囲にエネルギーを及ぼす性質がある。このホウ素をがん細胞に取り込ませて中性子を照射すると、周りの正常な細胞にはダメージを与えずに、がん細胞だけを殺すことができる。──開発のきっかけは。上原 親会社のステラケミファは、化学メーカーだ。親会社が持つ技術が、BNCTに取り組むきっかけであり最大の強みとなった。中性子に反応するのは、自然界のホウ素のなかでも20%程度しか存在しないボロン10という同位体。これを分離精製し、99%まで濃縮できる技術を、ステラケミファが国内で唯一事業化している。ボロン10は当初、原子力発電所の制御部...
がん治療の新たなツールをつくる──何を開発しているのですか。上原 ホウ素と中性子の反応を利用した、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に用いる薬剤を開発している。ホウ素の一部は、中性子を吸収すると核分裂を起こし、細胞の大きさと同じくらいの範囲にエネルギーを及ぼす性質がある。このホウ素をがん細胞に取り込ませて中性子を照射すると、周りの正常な細胞にはダメージを与えずに、がん細胞だけを殺すことができる。──開発のきっかけは。上原 親会社のステラケミファは、化学メーカーだ。親会社が持つ技術が、BNCTに取り組むきっかけであり最大の強みとなった。中性子に反応するのは、自然界のホウ素のなかでも20%程度しか存在しないボロン10という同位体。これを分離精製し、99%まで濃縮できる技術を、ステラケミファが国内で唯一事業化している。ボロン10は当初、原子力発電所の制御部材と
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