医薬経済オンライン

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間違いだらけのHTA

日本式「重み付けICER」の懸念材料

第29回

東京大学大学院薬学系研究科 五十嵐中

2017年12月1日号

 日本の「費用対効果評価の試行的導入」では、英国やオーストラリアのように給付の可否(費用対効果の悪いものは公的医療制度では面倒をみない)ではなく、価格調整に用いる方針だ。 英国やオーストラリアなど、給付の可否に使う国でも、患者アクセススキームなどで実質的には価格調整機能を併せ持つことはある。ただ、現在日本で議論されているような、ICER(増分費用効果比)の数値を直接価格に対応させるシステムをとる国は、少なくとも主要国では存在しない。 少々事情に明るい方ならば、「フランスが価格に使っているではないか」と反論するだろう。だが、給付価格の指標となるASMR(追加的有用性)は、あくまで臨床的な有用性で決まる。ASMR1~3の評価がつけば、その後の価格交渉は簡略化され、欧州4ヵ国の平均価格から最高価格までの範囲で給付価格が決まる。 このプロセスそ...  日本の「費用対効果評価の試行的導入」では、英国やオーストラリアのように給付の可否(費用対効果の悪いものは公的医療制度では面倒をみない)ではなく、価格調整に用いる方針だ。 英国やオーストラリアなど、給付の可否に使う国でも、患者アクセススキームなどで実質的には価格調整機能を併せ持つことはある。ただ、現在日本で議論されているような、ICER(増分費用効果比)の数値を直接価格に対応させるシステムをとる国は、少なくとも主要国では存在しない。 少々事情に明るい方ならば、「フランスが価格に使っているではないか」と反論するだろう。だが、給付価格の指標となるASMR(追加的有用性)は、あくまで臨床的な有用性で決まる。ASMR1~3の評価がつけば、その後の価格交渉は簡略化され、欧州4ヵ国の平均価格から最高価格までの範囲で給付価格が決まる。 このプロセスそのも

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